就活で生成AIを味方にする:安全に使うための基本と活用ポイント

國學院大学 経済学部:奥山 怜央

就活で生成AIを味方にする:安全に使うための基本と活用ポイント生成AIを“補佐”として活用する生成AI時代の就活生成AIの得意領域と不得意領域AI使用時の守るべきルール就活での生成AI利用ガイド1:個人情報・機微情報を入力しない具体的に入力NGな情報匿名化と抽象化のテクニックオプトアウト設定(学習させない設定)の実践2:「自分の言葉」にする責任を持つ著作権侵害のリスク「自分らしさ」の欠如と選考リスク3:事実確認(ファクトチェック)を行う生成AI使用のポイントどのサービス・モデルを使う?AIに対して課金するべきか?生成AIサービスの機能モデルの切り替えファイル・画像の添付カスタムインストラクションリサーチ機能音声入力機能プロンプト(入力文)作りのコツプロンプトを構成する「4つの要素」回答の質を高める4つのTips就活シーン別:AIの活用アイデア自己分析:経験の棚卸しと強みの言語化自分史の深掘り(「なぜ」の繰り返し)抽象的な活動からの言語化企業研究・業界研究:比較軸作りと効率化業界の全体像とトレンド把握リサーチ機能を用いた企業情報の収集企業比較の軸出し(SWOT分析の補助)エントリーシート(ES):構成案,添削,推敲PREP法に基づいた構成案の作成添削と「壁打ち」(読み手目線チェック)抽象的表現の具体化面接対策:想定問答と模擬面接想定質問のリストアップ模擬面接(ロールプレイング)ケースで学ぶありがちな失敗と回避策失敗ケース1:ありきたりな「テンプレES」失敗ケース2:事実誤認による自爆失敗ケース3:プロンプトへの機密情報混入失敗ケース4:自己PRの盛りすぎ学内サポートの使い分け(AI+キャリア支援)AIとキャリアサポート課の使い分け終わりに:就活を通じて「AIと共創する力」を身につける

生成AIを“補佐”として活用する

生成AI時代の就活

2022年にChatGPT-3.5が公開されて以来,生成AI(以降,本記事では「ChatGPT」「Gemini」「Claude」等のチャットを主機能とする生成AIを指して,「生成AI」「AI」と表記します。)は猛烈な勢いで世界中で利用されるようになりました。それは大学生,就職活動(以降,「就活」と表記)という場面においても例外ではありません。

もはや就活におけるAIの利用は,一部のリテラシーが高い学生だけのものではありません。マイナビが大学生を対象にした調査によると,就職活動における生成AIの利用率は年々高まっており,直近の2026年卒では3人に1人,66.6%の大学生が「就職活動でAIを利用したことがある」と回答しています。1

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AIの性能の向上とともに,就活シーンに普及してきたことが見て取れます。しかし,この利便性の裏には,倫理的な問題や,自身の「思考力」「主体性」を放棄してしまうリスクも潜んでいます。企業側も選考プロセスにおいてAIの活用を進める一方で,学生がAIをどのように利用しているか,そのリテラシーを注視するとともに,AIに頼らない力を見抜くための選考方法を工夫しています。2

本レポートでは,大学キャリアサポート課の視点から,就活に取り組む3年生および早期に動き出す学生を対象に,生成AIを「就活の代行者」としてではなく,自走するための「補助輪」として活用するためのポイントを詳述します。

生成AIの得意領域と不得意領域

AIを味方にするためには,その能力の限界を正しく理解する必要があります。AIは万能ではありません。以下の表は,就職活動におけるAIの得意領域を整理してみます。

機能生成AIの得意領域(強み)生成AIの不得意領域(弱み)就活での活用イメージ
文章作成構成案の作成,要約,添削,敬語の修正,表現のバリエーション出し独自の感情表現,一次情報の創出,本人の「熱意」の再現,文脈の微細なニュアンスESの叩き台作成,誤字脱字チェック,PREP法を用いた文章への書き換え
情報処理膨大なテキストの整理,比較表の作成,一般的な業界動向の解説最新の事実確認,正確な数値データ,非公開情報の取得,未来予測業界・企業情報の整理,企業比較
思考補助壁打ち(ブレインストーミング),多角的な視点の提示,模擬面接官価値観の最終決定,倫理的判断,責任ある意思決定,共感自己分析の深掘り質問,面接の想定問答作成,逆質問の考案

一方で,AIは「論理的で整った文章」を作ることは得意ですが,「事実に基づいた正確な情報」「ユーザーの経験・思考を反映した表現」を保証するものではありません。特に最新のニュースや細かな数値については,「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」を出力するリスクがあることに注意が必要です。したがって,「AIの出力はあくまで素材であり,最終的な責任と判断は人間(自分)にある」という認識を持つこと重要です。


AI使用時の守るべきルール

本学ならびに,キャリアサポート課は生成系AIの利用にあたってのメッセージを公開しています。

  • 生成系AIの利用にあたっては、膨大なデータベースから自然言語処理技術に基づいて生成された回答であることを認識してください。生成された情報の正確性と正当性を常に疑い、自身の責任において検証することが重要です。

  • 生成系AIが作成した文章は、その一部であっても転記することが、剽窃・盗用とみなされ不正行為になる場合もあります。また、他者の著作物が含まれていた場合は、著作権侵害に問われる可能性があります。

  • 個人情報や機密情報などは、生成系AIに入力しないでください。その情報が意図せず流出する可能性があります。

  • 生成系AIの利用によって何らかの問題が生じた場合、利用者自身の責任となることを認識してください。

(出所:國學院大學(2023). 「ChatGPT等の生成系AIの利用について・学長メッセージ – 國學院大學」 https://www.kokugakuin.ac.jp/news/360732 (参照:2026年01月06日))

 就職活動において提出を求められる志望理由書は、個々の学生が過ごした大学生活や経験に基づく個別の内容をまとめたものです。一方で、ChatGPT等は平均的な文章の作成にしか適していませんので、安易にChatGPT等を利用して志望理由書を作成することには注意が必要です。とくに、個人情報の入力は避けてください。また、採用時の面接は複数回行われ、異なる面接者からさまざまな観点で評価されます。その意味で、ChatGPT等による機械的な模擬面接が完全ではないことを念頭に置く必要があります。

 最終的には、学生の皆さんが主体的に就職活動に取り組むことが重要です。ChatGPT等を文章校正のための補助ツールとして使用する場合であっても、自ら文章の構成や意見等を考え下書きを作成することと、添削後には、必ず、その内容を再度確認してください。

 本学のキャリアサポート課では、継続して、きめ細やかでさまざまな就職支援を提供していますので、ぜひその機会を最大限に活用してください。

(出所:國學院大學(2023). 「支援内容 /就職活動におけるChatGPT等の生成系AIの利用について– 國學院大學」 https://www.kokugakuin.ac.jp/student/empsupport/p3 (参照:2026年01月06日))

AI技術は日々進化しており,企業側も業務効率化等の目的のために導入を進めています。したがって,学生の皆さんがAIを活用して効率的に準備を進めること自体は否定されるべきではありません。重要なのは,AIを盲目的に使うのではなく,AIを「使いこなす」主体性を維持することです。自分の言葉で語れる範囲を超えてAIに依存するべきではありません。

就活での生成AI利用ガイド

このセクションでは,皆さんが自身の身を守るために必要なセキュリティ対策と利用時の注意点について詳述します。

1:個人情報・機微情報を入力しない

生成AI(ChatGPTやGemini,Claudeなど)は,ユーザーが入力したデータをモデルの再学習(トレーニング)に利用する仕様がデフォルトでオンになっていることが多いです。これは,入力した内容が,将来的に他の誰かへの回答として出力される可能性があることを意味します。

具体的に入力NGな情報

以下の情報は,プロンプト(指示文)への入力を避けるべきです。

匿名化と抽象化のテクニック

ESの添削を依頼する際は,固有名詞を伏せ字にしたり,抽象的な表現に置き換えると良いでしょう。

Tip

  • NG例:「私は株式会社〇〇のインターンで,鈴木一郎部長のもと,新製品Xのマーケティングを行いました。」

  • OK例:「私は大手IT企業のインターンで,営業部長のもと,新規クラウドサービスのマーケティングを行いました。」

 

オプトアウト設定(学習させない設定)の実践

主要な生成AIサービスには,入力データを学習に使わせないための「オプトアウト設定」が存在します。就活で機微的な情報を入力して利用する際は,この設定を行うか,学習されないモードを利用することをお勧めします。2026年時点での主要サービスのオプトアウト方法は以下の通りです。

サービス名設定方法(オプトアウト手順)注意点
ChatGPTPC/スマホ共通:設定(Settings) > データコントロール(Data Controls) > 「すべての人のためにモデルを改善する(Improve the model for everyone)」をOFFにする。 または,チャット画面左上のメニューから「一時的なチャット(Temporary Chat)」をONにする。「一時的なチャット」は履歴が残らないため,履歴を残しつつ学習させたくない場合は設定からのオプトアウトが推奨されます。(下の画像はChatGPTにおけるオプトアウト設定)
GeminiGoogleアカウント設定:「Gemini アプリ アクティビティ」の設定画面にアクセスし,アクティビティをOFFにする,または自動削除を設定する。ビジネス版の,Google Workspaceでは,入力データは学習には利用されません。個人版のGeminiでは学習をオプトアウトすることができますが,その場合チャットの履歴も保存されなくなります。
Claude設定画面:設定(Settings) > プライバシー(Privacy) > 「Help improve Claude」のトグルをOFFにする。 

ScreenShot_MBP14 M3 Pro_20260106_184119_ChatGPT@2x2:「自分の言葉」にする責任を持つ

著作権侵害のリスク

本稿では著作権に関する具体的な法律議論は避けますが,AIはインターネット上の膨大なデータを学習しています。そのため,出力された文章が,既存の特定のニュースやサイトの記述と酷似している場合があります。これを知らずに提出すると,意図せず盗作(剽窃)や著作権侵害になるリスクがあります。

「自分らしさ」の欠如と選考リスク

AIの文章は,統計的に最も確からしい言葉をつなぎ合わせているため,「平均的で無難な」回答になりがちです。

従って,生成AIの出力はあくまで「ドラフト(下書き)」や「ヒント」として扱い,最終的な提出物は必ず自分の手でリライトし,自分なりのエピソードや感想を加えることが重要です。AIが作った文章をそのまま提出することはやめましょう。

3:事実確認(ファクトチェック)を行う

ハルシネーション(幻覚)と呼ばれるAIの嘘は,もっともらしい文体で出力されるため非常に厄介です。具体的な情報の誤りが生じるケースを挙げてみましょう。

対策:

  1. 一次情報の確認:AIが得た情報は,必ず企業の「採用サイト」「IR情報(有価証券報告書)」「統合報告書」でなどで裏付けを取りましょう。

  2. 複数ソースの参照:AIだけでなく,新聞記事データベース(日経テレコンなど)や業界地図も併用し,情報のクロスチェックを行ってください。

  3. 適切なコンテキストの投入:可能であれば企業の統合報告書などの資料を投入した上で回答を求めると,より正確な回答を得やすくなります。


生成AI使用のポイント

本セクションでは,就活に限らず,一般的なチャット型の生成AIに関して,使用時のポイントを簡単に紹介しておきます。

どのサービス・モデルを使う?

結論から言えば,どのサービス・モデルを使用しても差し支えはありません。現状,生成AIの出力の巧拙を競うようなサービスでは,OpenAIのChatGPT,GoogleのGemini,AnthropicのClaude,xAIのGrokなどがありますが,いずれも一般的な用途では差異がわかりにくいです。それぞれ好みのサービスを選択すると良いかと思います。

ただし

  1. できるだけ新しいモデル(を提供しているサービス)を使う

  2. 高性能なモデルを用いる

  3. 必要に応じて,推論モデルを使う

ことは重要です。2の高性能なモデルに関しては「§AIに対して課金するべきか?」,3の推論モデルに関しては,「§生成AIサービスの機能」で詳説します。

AIに対して課金するべきか?

多くの生成AIサービスでは,無料版,月/20ドル = 3,000円程度の有料版,月/200ドル = 45,000円程度の高級有料版をラインナップしているケースが多いです。個人的には最初は無料版で試してみて,使いこなせそうだと判断したタイミングで,スポット的に3,000円の廉価プラン(といっても円安の影響でいうほど廉価ではないですが……)を契約してみるのが良いのではないかと思います。

無料版と有料版では以下のような違いがあります。

比較項目無料版(Free)有料版
搭載モデル軽量・高速モデル(Ex:GPT-5 miniGemini 3 Flash) :日常会話や単純作業向け最新・高性能モデル(Ex:GPT-5 ThinkingGemini 3 Pro): 複雑な推論,論理的思考向け
利用制限回数制限が厳しい:高性能モデルは数回で制限がかかり,低性能版へ切り替わることが多い制限が緩和される:より多くの回数,高性能モデルと対話が可能になる
応答速度混雑時に遅くなる,またはアクセス不可になることがある優先的に処理されるため,混雑時でも安定して速い
機能性テキスト生成がメイン。 画像生成やデータ分析は制限的,または不可マルチモーダル機能がフル開放される。高度な画像生成,Excel/CSVデータ分析,コード実行などが可能になる。
入力容量短め~標準的:長い文章の要約や記憶保持に限界がある大容量(ロングコンテキスト):長文のテキストや、長時間の動画・音声を一度に読み込める
プライバシー会話データがAIの学習に使われる設定がデフォルトの場合が多い学習利用をオフにしやすい

特に差異が大きいのが,搭載モデルとその利用制限に関するものです。多くの無料版では,高性能なモデルが使えないか,あるいは一定時間内の利用回数を制限しているというケースが見られます。例えば,OpenAI社のChat GPTでは,

利用制限

ChatGPT 無料プランのアカウントでは、5 時間ごとに最大 10 件のメッセージを送信できます。この上限に達すると、上限がリセットされるまで自動的にそのモデルの mini バージョンが使用されます。無料プランのユーザーは、1 日に 1 件 GPT-5 Thinking メッセージも送信できます。

ChatGPT Plus のユーザー は、3 時間ごとに最大 160 件の GPT-5 メッセージを送信できます。この上限に達すると、上限がリセットされるまでそのモデルの mini バージョンが使用されます。この上限引き上げは一時的なもので、今後元の上限に戻る予定です。

Plus または Business プランをご利用の場合は、モデル選択メニューから GPT-5-Thinking モデルを手動で選択でき、メッセージ数の上限は 1 週間あたり最大 3,000 件です。週の上限に達すると、ポップアップ通知が表示され、GPT-5-Thinking はメニューから選択できなくなります。

(出所:OpenAI Help Center(2025). 「ChatGPT の GPT-5 | OpenAI Help Center」 https://help.openai.com/ja-jp/articles/11909943-gpt-52-in-chatgpt (参照:2026年01月06日))

といった制限が加えられています。

用語の意味確認や軽いアイデア出しといったレベルであれば無料版の軽量・高速モデルでも良いのですが,自己分析の深掘り,ESの論理構成の追い込み,企業情報に関するレポートの作成といった用途では,有料版の高性能モデルの方が圧倒的に優れています。高性能モデルを制限なく使えるという点において,就活が佳境に差し掛かっている間は一時的に契約する,といった使い方は良いかもしれません。

生成AIサービスの機能

本セクションでは生成AIサービスにおける機能についていくつか紹介します。3

モデルの切り替え

前述で生成AIサービスに備わるモデルには,軽量なものと高性能なものがありますが,それぞれ切り替えることが可能です。必要に応じて,ThinkingProなどのモデルに切り替えることで良好な結果を得やすくなります。

ScreenShot_MBP14 M3 Pro_20260106_210655_ChatGPT@2x

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ファイル・画像の添付

AIに対して,ただテキストで指示してAIが持っている知識だけを頼りに回答させるよりも,適切な資料をコンテキストとして依拠させた上で回答させた方が良好な回答を得やすくなります。ファイル・画像の添付は,チャット欄の+を押して添付するか,ファイルをドラックアンドドロップすることで可能です。

ScreenShot_MBP14 M3 Pro_20260106_211317_ChatGPT@2x

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カスタムインストラクション

生成AIに対して,ユーザー自身の特性や,AIの振る舞い方(回答の出力方法)を記憶させておくことができます。

どのようなインストラクションを設定すべきかは,様々なものがあるのでここでは詳しく取り上げませんが,以下に一例を示しておきます。

ChatGPTの場合,設定/パーソナライズから設定することができます。

ScreenShot_MBP14 M3 Pro_20260106_212556_ChatGPT@2x

 

Geminiの場合は,まずGemの作成画面を開きます。

ScreenShot_MBP14 M3 Pro_20260106_212901_Gemini@2x

その後,名前やカスタム指示を入力し,Gemを開くことで,入力した指示の通り振る舞う生成AIと対話することができます。

ScreenShot_MBP14 M3 Pro_20260106_213134_Gemini@2x

リサーチ機能

通常の生成AIモデルには知識の「学習期限(カットオフ)」があり,直近のニュースや最新の企業業績を知らないという弱点があります。これを補うために,AIにインターネット上の情報を検索・参照させレポートを作成させる「リサーチ(ブラウジング)機能」があります。

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音声入力機能

スマートフォンのアプリ版などでは,テキスト入力だけでなく,音声を使ってAIとリアルタイムに会話できる機能(Gemini LiveやChatGPTのAdvanced Voice Modeなど)が利用可能です。これは単なる音声入力ではなく,人間と話すような自然なテンポでやり取りができる点が特徴です。

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プロンプト(入力文)作りのコツ

生成AIの回答精度は,ユーザーが入力する「プロンプト(指示文)」の質に大きく左右されます。漠然とした質問には漠然とした回答しか返ってきません。具体的かつ精度の高い回答を引き出すために,Googleが紹介する4以下の4つの要素(構成要素)と,4つのTipsを紹介します。

プロンプトを構成する「4つの要素」

プロンプトを作成する際は,以下の4つの要素を明確に含めることで,AIが「自分が何をすべきか」を正確に理解できるようになります。

要素説明就活でのプロンプト例
ペルソナ書き手の設定:AIにどのような立場で回答してほしいかを指定します。「あなたは大手総合商社の熟練採用担当者です。」
タスクして欲しいこと:具体的な作業内容を指示します。「私の自己PRの添削を行い,改善案を提示してください。」
コンテキスト背景や状況:前提となる情報を与えます。「私は体育会ラグビー部の主将を務めており,協調性をアピールしたいと考えています。」
フォーマット出力の形式:どのような形で回答してほしいかを指定します。箇条書きで,良い点と悪い点を分けて出力してください。」

回答の質を高める4つのTips

上記の構成要素に加え,対話をする上で以下のポイントを意識すると,より自分に合った回答が得られます。

  1. 文脈・背景を詳細に伝える(資料の直接インプット)

    • 「ESを直して」だけではなく,「どのような企業を受けるのか」「自分の強みは何か」といった背景を可能な限り詳細に伝えてください。

    • 言葉で説明するのが難しい場合は,企業の採用ページのスクリーンショットや,自分が書いたESのPDF/Wordファイルを直接AIに読み込ませるのも有効です。

  2. 文脈を引き継いでもらう(チャットの固定)

    • AIとの対話は一問一答ではありません。同じチャット内であれば,AIは過去の会話を記憶しています。

    • 一度自己分析の深い話をしたチャットルーム(スレッド)を固定・保存しておき,ES作成や面接対策も同じチャットで行うことで,「あなたの価値観を理解したAI」として継続的にサポートしてもらうことができます。

  3. アウトプットの例(見本)を見せる

    • 求めている回答のイメージがある場合は,その例を提示しましょう。

    • 「以下の例文のようなトーン&マナー(文体)で書いてください」「添付した画像の説明文くらいの長さでまとめてください」と指示することで,出力のブレを防ぐことができます。

  4. 諦めず追加で指示を出す(対話によるブラッシュアップ)

    • 1回のプロンプトで完璧な回答が返ってくることは稀です。「少し抽象的すぎるので,もっと具体例を入れて」「ここはもっと厳しく指摘して」といったように,フィードバックを繰り返してください。

    • 作業を分解し,「まずは構成案だけ出して」「次にその構成に基づいて本文を書いて」と段階を踏んで依頼するほうが,AIの誤解が減り,精度が向上する傾向にあります。


就活シーン別:AIの活用アイデア

ここからは,就活のフェーズごとに,具体的かつ効果的なプロンプト(指示文)の例を交えて提示します。5下に記載したもの以外にも無数の活用法があります。工夫して使ってみてください!

自己分析:経験の棚卸しと強みの言語化

自己分析をしていると「特別な経験がない」「リーダー経験がない」といった悩みに直面することもあるかもしれません。AIとの対話(壁打ち)を通じて,日常の経験から「コンピテンシー(行動特性)」を抽出することができます。

自分史の深掘り(「なぜ」の繰り返し)

自分の過去の行動に対して,AIに面接官役として「なぜ?」を繰り返してもらうことで,潜在的な価値観や動機を言語化します。

【プロンプト例:自己分析の深掘り】

Tip

あなたはプロのキャリアカウンセラーです。

私の以下のエピソードに対して,「なぜそうしたのか?」「その時どう感じたか?」「困難だった点は?」といった深掘り質問を5回程度繰り返してください。私の回答から,私の「強み」や「大切にしている価値観」を言語化してください。

 

エピソード:居酒屋のアルバイトで,新人教育のマニュアルを勝手に作り直したこと。店長には頼まれていないが,新人がすぐに辞めるのが嫌だったから。

ポイント・得られる効果:

ここでは,AIに対して1回で回答を求める( = ワンショット)のではなく,何度か繰り返してからの回答出力( = フューショット)を求めていることがポイントです。これによりAIと問答を繰り返すことでより精緻な言語化が可能になります。

単なる「マニュアル作成」という事実から,「現状の課題を自発的に発見する力」「組織全体の利益を考える視座」「後輩への面倒見の良さ」といった就活向けのキーワードを引き出してくれます。

抽象的な活動からの言語化

例えば「文系のゼミに所属しており,ビジネスにどう生きるかをうまく言語化するのが難しい」と言った悩みも,AIにES文章の叩き台を作ってもらうことができます。

【プロンプト例:ゼミ活動の変換】

Tip

私は文学部で「明治時代の私小説における自意識の変遷」を研究しています。一見ビジネスに関係ないテーマですが,この研究活動を通じて得られた「情報収集力」「多角的な視点」「論理的思考力」「粘り強さ」などを,企業の営業職または企画職で活かせる強みとしてアピールする文章の構成案を作成してください。

 

具体的なエピソードとして,100冊以上の文献を読み込んだこと,教授と何度も議論して仮説を修正したことを含めてください。

ポイント・得られる効果:

文章を作成する上で必要な,「経験の要約」「具体的なエピソード」「抽象化した特性」をしっかりとプロンプトに入力していることがポイントです。

この例では,研究内容そのものではなく,「膨大な情報から本質を抽出する力」や「論理的に意見を主張する力」といった,ポータブルスキルへの変換を補助してくれます。

企業研究・業界研究:比較軸作りと効率化

膨大な企業情報を整理するためにAIを使います。ただし,前述の通り数値の裏取りは必須です。

業界の全体像とトレンド把握

【プロンプト例:業界分析】

Tip

2027年卒の就活生です。IT業界における「Sler」と「Web系」の違いについて,ビジネスモデル,働き方,求められる人物像の観点から表形式で比較してください。また,それぞれの業界が現在抱えている課題と将来性についても簡潔にまとめてください。

リサーチ機能を用いた企業情報の収集

【プロンプト例:企業分析】

Tip

あなたは就職活動中の大学生を支援するリサーチアナリストです。 以下の企業について、ES執筆および面接準備に使える水準で信頼性の高い一次情報を中心にディープリサーチを行ってください。

 

【企業名】 [企業名]

 

【参照する情報源】 ・統合報告書 ・有価証券報告書(直近) ・中期経営計画/経営方針 ・公式IR資料・プレスリリース ・公式採用サイト・社長メッセージ

 

【調査観点】

  1. 事業構造(収益の柱・成長領域・課題領域)

  2. 中長期戦略と投資の方向性

  3. 業界内でのポジショニングと競争優位性

  4. 経営陣が重視している価値観・キーワード

  5. 直近のリスク要因・逆風(外部/内部)

【アウトプット形式】 ・事実(ファクト)と解釈(示唆)を明確に分ける ・主観的評価は控え、根拠を明示する

先述のリサーチ機能を用いることで,企業に関する情報を網羅的に収集することができます。

企業比較の軸出し(SWOT分析の補助)

【プロンプト例:企業比較】

Tip

以下のURL(※企業のIR情報などのテキストをコピペするか,Browse機能がある場合はURL指定)or 添付の資料 の情報をもとに,A社とB社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を分析してください。

エントリーシート(ES):構成案,添削,推敲

AIは「0から書く」のではなく,「構成を考える」「書いたものを直す」プロセスで最強のツールになります。

PREP法に基づいた構成案の作成

書きたいエピソードはあるが,どう並べればいいかわからない時に使います。

【プロンプト例:構成案作成】

Tip

以下の要素を使って,400字以内の「自己PR」を作成するための構成案(骨子)を提示してください。文章そのものは書かなくて良いです。PREP法(結論・理由・具体例・結論)を意識してください。

  • 強み:継続力,忍耐力

  • エピソード:大学の吹奏楽部で,初心者からスタートして3年間一日も練習を休まず,最後のコンクールで金賞を取った。

  • 志望業界:金融業界(信頼と継続が大事だと思っている)

添削と「壁打ち」(読み手目線チェック)

自分が書いたESをAIに評価させます。

【プロンプト例:ES添削】

Tip

あなたは大手メーカーの人事採用担当者です。以下の「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」を読み,以下の観点で厳しくフィードバックしてください。

  1. 結論が冒頭で明確に伝わるか?

  2. 「困難」のレベル感と,それを乗り越えた「工夫」の因果関係は論理的か?

  3. 学生の「人柄」や「思考プロセス」が見えるか?

  4. 冗長な表現や,もっと簡潔にできる部分はあるか?

ーーー

(ここに自分の書いたESを貼り付ける)

ポイント:添削の際に,「もっと良く書き直して」などと抽象的に頼むと,AI特有の美辞麗句(「比類なきリーダーシップを発揮し…」など)が混ざり,リアリティが消え不自然な文章になります。具体的に「フィードバック」や「改善点の指摘」を求めるのがポイントです。

抽象的表現の具体化

「円滑にするために頑張りました」「コミュニケーションを大切にしました」といった抽象的な表現は,面接官に響きません。これを具体化するためにAIを使います。

【プロンプト例:具体化】

Tip

以下の文章にある「積極的にコミュニケーションをとった」という部分を,もっと具体的な行動(誰に,どのような手段で,何を話したか)が伝わる表現に書き換えたいです。私の実際のエピソードは「週に1回,メンバー全員と1on1ミーティングを実施した」ことですが,これをビジネスライクに,かつ学生らしい熱意が伝わるように表現する案を3つ出してください。

面接対策:想定問答と模擬面接

面接は「対話」です。AIチャットボットは,まさにこの対話の練習相手として最適です。

想定質問のリストアップ

【プロンプト例:深掘り質問の生成】

Tip

以下の志望動機に対して,面接官が聞いてきそうな「意地悪な質問」や「深掘り質問」を10個挙げてください。特に,論理の飛躍がある部分や,他社でも通用してしまう汎用的な部分を突いてください。

(志望動機を貼り付ける)

 

模擬面接(ロールプレイング)

音声入力機能(ChatGPTのスマートフォンアプリなど)を使えば,声に出して練習できます。

【プロンプト例:模擬面接】

Tip

これから模擬面接を行います。あなたは食品商社の面接官になってください。私は学生です。

 

まずあなたが質問をし,私が答えます。私の答えに対して,さらに一つ深掘り質問をしてください。これを5往復繰り返した後,私の回答内容と話し方(テキストベースでの論理性)についてフィードバックをください。

 

では,最初の質問をお願いします。

これにより,予期せぬ質問への対応力(アドリブ力)を鍛えることができます。


ケースで学ぶありがちな失敗と回避策

AIに頼りすぎた結果,評価を下げる典型的な失敗例(アンチパターン)を紹介します。これらを反面教師にしてください。

失敗ケース1:ありきたりな「テンプレES」

失敗ケース2:事実誤認による自爆

失敗ケース3:プロンプトへの機密情報混入

失敗ケース4:自己PRの盛りすぎ


学内サポートの使い分け(AI+キャリア支援)

生成AIは万能ではありません。特に「個別の事情に合わせた戦略立案」や「真に就活・採用を経験した人との壁打ち」は,大学のキャリアサポート課やキャリア・内定者アドバイザー(人間)の得意分野です。AIと人(キャリアサポート課)をうまく使いながら就活を進めてみましょう。

AIとキャリアサポート課の使い分け

  1. AIフェーズ(拡散・準備・壁打ち):

    • 自己分析の初期段階で,エピソードを洗い出す。

    • 業界の広範な情報を収集し,興味の方向性を探る。

    • ESのドラフト(叩き台)を作成し,誤字脱字や構成を整える。

    • 面接の想定質問をリストアップしてみる。

  2. キャリアサポート課フェーズ(収束・意思決定・整合性確認):

    • 自己分析結果を持ち込み,「本当にこれが自分らしいか?」をカウンセラーと対話して確認する。

    • ESのドラフトを持ち込み,「読み手に熱意が伝わるか」「大学での学びが反映されているか」を添削してもらう。

    • 模擬面接を行い,言葉以外の要素(表情,話し方,マナー)や,予期せぬ質問への対応を練習する。

    • 就活疲れや不安に対するメンタルサポートを受ける。

終わりに:就活を通じて「AIと共創する力」を身につける

現在、ビジネスの現場でも生成AIの導入が急速に進んでいます。この就職活動を通じて、プロンプトを工夫し、AIの回答を批判的に読み解き、自分の成果物に昇華させるプロセスを経験することは、社会人として求められる「AIリテラシー」そのものを鍛える絶好の機会でもあります。

 AIを単なる「ズルをする道具」と捉えるか、「自分の能力を拡張するパートナー」と捉えるかで、得られる成果は大きく変わります。試行錯誤しながら、AIを活用してみましょう。

 もちろん、一人で行き詰まったときは私たちキャリアサポート課を頼ってください。AIという最新技術と、キャリアサポート課という人的支援。使えるリソースをフル活用して、納得のいく内定を勝ち取りましょう!


1 マイナビキャリアリサーチLab | 働くの明日を考える(2025). 「2025年度(2026年卒版)新卒採用・就職戦線総括 | マイナビキャリアリサーチLab」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250926_101951/ (参照:2026年01月05日)
2 日本経済新聞(2025). 「就活ES「AI頼み」が当たり前? 測れぬ熱意、ロートなど書類選考廃止 - 日本経済新聞」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC182OP0Y5A211C2000000/ (参照:2026年01月07日)
3 スクリーンショットはChatGPTとGeminiのmacOS版から紹介しています。お手元の利用サービス・環境によって異なりますので参考までにご覧ください。
4 参考・引用:Google(2025). 「大学生とともに作った「Gemini 活用事例集」を公開」 https://blog.google/intl/ja-jp/feed/gemini/ (参照:2026年01月06日)
5 参考:キャリアデザインプロジェクト 編著. すごい就活術 : 内定勝者 : ChatGPTを最大限に活用 2026年度版エントリーシート編, 実務教育出版, 2024.2. 978-4-7889-8365-6./キャリアデザインプロジェクト 編著. すごい就活術 : 内定勝者 : ChatGPTを最大限に活用 2026年度版面接編, 実務教育出版, 2024.2. 978-4-7889-8366-3./nomura(2025). 「就活で生成AIをフル活用!ESや企業研究、面接練習の効率アップ術 - ユニキャリ - 学生のための就活応援メディア|Powerd by 洋服の青山」 https://www.y-aoyama.jp/unicari/know_how/9837/?srsltid=AfmBOorOUldL9ddHwafF1F1vixRUE4QkT2yL3RHUVkCKeGGMx6HauLG_ (参照:2026年01月07日)